引っ込み思案な恋心。-2nd
倉本くんが、一瞬私の顔を見てきたような気がした。
けど、ごくわずかに目が合ったと思ったら、倉本くんの視線はあゆに向けられた。
「お前らがいいって言うなら参加したいんだけど。何だかんだ言って、杉田の教え方、分かりやすいと思うから」
「……ふーん。分かった。漫画もケータイも持ち込まないって言うなら参加してもいいよ。瀬川はあんたの友達だし、今まであれで許してたかもしれないけど、うちらはそーはいかないから、覚悟しといて」
「……約束する」
なんか……
倉本くんにそう思われてて、ちょっと意外だったかも。
確かに倉本くん、自分の勉強が終わったらすぐに休憩してたし、決して真面目な態度だったとは言えないけど……
それでも私のこと、そんな風に頼っててくれてたんだ…?
最後に拓の家に行った時に話して以来、倉本くんとはまともに話してなかったけど…
やっぱり褒められて悪い気はしないと思った。
「じゃあ、この6人で勉強会しよう。とりあえずココが使えるかどうかは私と映美佳と柚で聞いとくから。柚、今回は教科どーする?」
あゆに話を振られて、私はテストの範囲表を机の上に広げた。
「数学と理科と英語と……、あとみんな、不安な教科はある?」
「あっ、俺社会。暗記すべき所を教えてほしいんだけど」
「分かった。まとめとくね」
倉本くんにそうリクエストされて、私は社会の範囲表に『暗記』と書き足した。