引っ込み思案な恋心。-2nd
―――――
――
拓と二人きりになった教室に、窓からまぶしい西日が差し込む。
拓は1年の時によくそうしていたように、教室の後ろの方に行き、掲示板にもたれかかった。
私も自分の席に荷物を置いたまま、拓の隣に同じように立った。
「…あのさ、今までホントごめん。別に俺、柚のコト避けてたわけじゃない。ただ、色々考えることがあって……」
「うん。何となくだけど、分かってるよ」
夏が、近付いてる。
こんな時間でも、陽はまだまだ落ちそうにない。
「もちろん、中間テストの前に柚にしたコトも悪いと思ってる。俺最初、それで柚と距離作った方がいいと思ってたけど…」
そこまで言った後、拓は少しだけ黙り込んで、それからゆっくりと私の方に顔を向けた。
「そんな時、俺のクラスにいる松沢…、柚も見たコトはあるだろうけど。アイツに『陸上部に入らないか』って誘われた」
「え?陸上部……?」
そう言えば…、あゆが言ってた気がする。
松沢さんは陸上部に入ってて、足が速いって。
「俺が走ってるトコ、1年の時から何回か見たことがあるらしくて、ずっと陸上部に誘おうと思ってたらしい」
「そ…、そうだったんだ……」
確かに拓は、体育祭でリレーのアンカーに選ばれたぐらい、めちゃくちゃ足が速い。
陸上部の人にスカウトされるなんてすごいことだけど…
なんか、拓の話と私の松沢さんに対する印象……、違っているのは気のせい?