引っ込み思案な恋心。-2nd
拓は前に、私と一緒に帰れるから、帰宅部で良かったと言っていたことがあった。
そう言われて、私も嬉しかった。
だから…、どうして私との時間を削ってまで、しかも途中入部で陸上部に入ろうという気になったのか…、少し気になった。
すると、不意に拓が私の手を握ってきた。
少し驚いたけど、久々の拓の手は、変わらず温かかった。
「俺、ずっと柚と一緒にいたいと思う。その気持ちは変わってない」
「うん」
「だからこそ、ずっと考えてた。柚は頭が良くて、俺はバカだから…、今のままじゃたぶん高校まで一緒になれないと思う」
え…?
拓、私達が高校生になった時のことまで考えていたの…?
まだ…、『受験』という言葉すら遠い未来のような気でいる時期なのに…。
「でも俺、やっぱり諦めたくないから。だから柚と同じ高校通えるように、俺も頑張りたいと思った」
「…つまり、陸上でいい成績残して、推薦狙ってるってこと…?」
やっと…、分からなかった全てのつじつまが合ったような気がした。
拓も私のために、本当にたくさんのことを考えてくれてたんだ──。
「俺、こんなコトしかできないから。今、柚といる時間が少なくなっても、これからのコトを考えたらって…」
「…そんなこと、ずっと一人で考えてたの?」