引っ込み思案な恋心。-2nd
『拓に避けられてる』って、勝手に悩んで、
『拓が取られてしまう』って、勝手に辛い思いをして、
でも…、私がそうやって目の前のことに苦悩している間にも、拓は私のことを想いながら一生懸命自分の行く道を考えていた。
何も知らなかったとはいえ…、
こんな自分がちっぽけに感じてしまった。
「もちろん、最初は柚に相談しようと思った。でも柚の顔見たらやっぱり、『今、一緒にいたい』って思いが強くなるから…、あえて一人で考えようと思った。…自分の将来だしな」
「そうだね。拓はすごいよ。そこまで考えてるんだから…」
私は確かにテストの点数は人よりいいかもしれない。
だけど、中学校を卒業した先のことなんて、まだ何一つ考えてない。
毎日のことをこなすのに必死だったから。
そろそろ志望校だって考え始める時期に来ているのかもしれない。
だけど…、拓の話を聞くまでそんなコト、頭をかすめたことすらなかった。
「…私も、ちゃんと考えるよ。拓が自分の長所を活かせることを見つけたように、私は私の出来ること、ちゃんと考える。…もちろん、私も拓と同じ高校に行きたいから」
やっと…拓の考えていたことを全部受け止めることができた。
これで昨日までよりは気楽に拓に話しかけられるようになったけど、前みたいにいつも一緒にいることはできなくなると思う。
だけど……
拓と離れている間に、私は私の道を見つけよう。
『拓の彼女』という肩書にふさわしくなれるように。