引っ込み思案な恋心。-2nd
「でもさぁ、これもコイツのためだったもんね〜。ちょっとぐらい成績上げないと、親に没収されちゃうかもしれないし」
「ははは。でもあかねちゃんらしい発想だよね。携帯のために塾に通うなんて…」
「でも柚も親にケータイ買ってもらえたんでしょ?この私に感謝してよねー」
「別に私は携帯欲しいなんて……」
制服のスカートのポケットの中からピカピカのピンクの携帯を取り出したあかねちゃんを見て、私も制服の上から先日親に買ってもらった携帯を触った。
…まさか、私が携帯電話を持つ日が来るなんて。
クラスに友達すらいなかった時なんて、そんなもの一切興味なかったのにな。
でも…、携帯を買ってもらって映美佳やあかねちゃんと番号とアドレスを交換したら、自然と嬉しさがこみ上げて来たんだ。
「またまたそんなコト言っちゃってぇ〜。瀬川にも番号教えなよ。アイツはまだ携帯持ってないけど…、部活入ったから近いうちに買ってもらえるかもとか言ってたよー」
「…ホント?」
「あっ、瞳が輝いた!やっぱり柚も瀬川とあまり話せなくなって寂しいと思ってたんでしょー?」
「うっ……」