引っ込み思案な恋心。-2nd
倉本くんは自分の隣の席を私に勧めてきて、他に空いている席もなさそうだったから、私は仕方なくそこに座った。
でも、私のおかげで塾に通ってるって…、どういうこと?
「…俺、初め杉田のこと、ライバルとして見てたトコあってな」
周りがあまりにも静かなので、倉本くんは小声で話し始めた。
私もバッグを机の横にかけて、最初の授業の準備をしながら倉本くんの話に耳を傾けた。
「一番初めの勉強会の時、『うちのクラスにこんな勉強できる女子がいたのか』って驚いたと同時に、…なんかムカついた」
「…ムカついた?」
倉本くんが私のことをそう思っていたなんて…
ただ、『クラスで影の薄い女子』みたいにしか思ってないのかと思ってた。
「俺もそこそこ勉強頑張ってるつもりだったから。でも…、杉田は俺のレベル、軽く超えてる。いきなりそんなヤツが出てきたら焦らないわけないだろ」
「そうだったんだ…」
「だから、最初の勉強会の時、ヒドいコト言ったと思ってる。………ゴメン」
「ううん。…あの時のことはもう許してるから。謝らないで」
『友達がいないから勉強しかできなかったんだろ』
『みんな杉田に勉強を教えてもらうために近付いた』
確か…、1年生の時の最初の勉強会の時、そんなことを倉本くんに言われたような気がする。