ハッピーエンドじゃ終われない【短編】
「………」
視線を感じる。
私の身体を嘗め回すようなねっとりとした目。
まるで毛虫が身体を這ったかのような気分だ。
目を合わせないように俯くと、隣の彼が私の肩を抱く力が強くなった。
そして小さく私に言う。
「……今から俺が何をしても黙ってて」
言った瞬間、新堀の目の前で彼は再度私を壁に押し付けた。
「……っ」
びっくりしたが、声は出さない。
黙っていろと言ったのは
彼だから。