ハッピーエンドじゃ終われない【短編】
「愛してるよ、ミーナ」
親しい人しか知らない私の愛称を呼んで、彼は私を壁に押し付けたまま口づけた。
「………ん」
甘い吐息が口から漏れる。
初めてのキスじゃないのに
そうじゃないみたいに私は彼に身を任せる。
薄く目を開けると視界の端に驚愕に目を見開く新堀が見える。
だけどそんなことはもはやどうでもよかった。
この口づけが余りにも気持ちが良くて、締め付けられたように胸が苦しい。