ハッピーエンドじゃ終われない【短編】
キスが終わるのが怖い……
見ず知らずの男のはずなのに、心中しようと言ってくる変人なのに。
さっきの愛してるが微薬のように私の中に溶け込んで、本当に愛されているかのような錯覚に陥る。
気付くと自分から彼に腕を回して
私は彼を求めていた。
「………待って。もう少し…」
離れる唇が名残惜しくて
彼に懇願するように私は呟く。
「……人が見てる」
自分からしてきたくせに
しれっと彼は私を離す。