ハッピーエンドじゃ終われない【短編】
「ひっ……
わ、分かりました
消えさせて頂きます…っ」
醜い顔を更に歪めて
転がるように新堀は廊下を駆けていった。
「………さて」
新堀が消えていった廊下から視線を外して、彼はゆっくりこちらを向いた。
「邪魔者はいなくなった」
頬に深い笑みを刻みながら強い眼差しを向けられて、不覚にも心臓が不自然に跳ねた。
「……ありがとう」
胸の鼓動には気付かないフリをして、至って冷静に彼を見つめた。