虹結び
ベンチに座りちょっと待っててと言って男の人はその場からいなくなる。

「いたた…どしたんだろ?疲れてるのかな?」


まだ頭がズキンズキンと痛む、でもさっきの声はしなくなったからそれだけでもマシだ。


「はい、これ飲んで落ち着きな。」


目をつぶってると声がし、開けると紙コップに入った冷たいお茶を渡された。



ごくん


喉にお茶の冷たさが響き落ち着くことが出来た。男の人はその様子をただ見ている、その視線に気づき何故か少し恥ずかしくなり


「あ、ありがとうございます。」


「いいよ、それよりもう大丈夫かい?」

「はい。まだ少し頭が痛いけどだいぶ楽になりました。」


そう言葉を交わしながら私は初めてまともに男の人を見た。
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