アストロイズム
輪の中から抜け出して自分の席に腰を下ろすと、その前の席に1人が座る。
「超響いてるわ。アンタの声」
『…あら、そうだった??』
伊田 瞳(イダ ヒトミ)。あたしの親友。頭脳明晰。クールビューティー
以上があたしの彼女に対する最低限のデータ。
「男子たちが口々にまた突っ込んでるって噂してたくらいだからね、」
『……だって応援したいんだもん。いいじゃん~?』
人差し指を立てて説明してきた瞳に、頬杖をして同意を縋る。
それでよそを向いてしまった彼女にさっきとは違う意味で溜め息。
向こう側を見てみれば未だ盛り上がる恋バナの輪。
いつも通りのその場景が、今日変化する。
―――…そんなことは誰も気付かないけどね。