アストロイズム



輪の中から抜け出して自分の席に腰を下ろすと、その前の席に1人が座る。



「超響いてるわ。アンタの声」


『…あら、そうだった??』



伊田 瞳(イダ ヒトミ)。あたしの親友。頭脳明晰。クールビューティー

以上があたしの彼女に対する最低限のデータ。



「男子たちが口々にまた突っ込んでるって噂してたくらいだからね、」


『……だって応援したいんだもん。いいじゃん~?』



人差し指を立てて説明してきた瞳に、頬杖をして同意を縋る。


それでよそを向いてしまった彼女にさっきとは違う意味で溜め息。



向こう側を見てみれば未だ盛り上がる恋バナの輪。


いつも通りのその場景が、今日変化する。




―――…そんなことは誰も気付かないけどね。


< 3 / 12 >

この作品をシェア

pagetop