漆黒の姫君
放課後、自分の下駄箱を覗くと一通の手紙があった。内容はラブレター。
一行一行に思いが込められていたが、それを書いた人は愛里が名前も聞いた事のないような人。気持ちは嬉しいが、付き合う気はないと愛里はしっかり断ったはずだ。
しかし独自の思考回路で愛里の言葉を良い方へ変換し、未だに迫ってくる。
いい加減、鬱陶しいんだよ!!
今まで堪えていた愛里の感情が爆発した。
「本当にいい加減にして下さい!!私はあなたの事が嫌いなんです!!近付かないでください!!」
「……。」
今までなんと言っても通じなかった男が、いきなり静かになった。…様子がおかしい。何やら呪文のようにぶつぶつと呟いている。