はつこい―君が笑ってますように。―
康くんは、小学校卒業と同時に
少年野球チームを引退し、
中学でも野球部には入らなかった。


「なんで?
松井くんは入ってるよね?」

松井くんは同じチームにいた、
康くんと同い年の男の子だ。


「…何となく。
つか、自分も帰宅部のくせに。」

康くんは吐き捨てるように呟いた。


「私は元から野球やってたわけじゃないもん。」

と私が言うと、またあまり納得していないような顔で、

「…あ、そ。」

と呟いた。



その日から康くんは、
「送る。」
と言って、一緒に下校してくれるようになった。



桜の花が、舞い散る頃だった。
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