最初はぐー
確かその次の日からの弦は、拍子抜けするくらいいつも通りだった。
だからといって、寝たフリしてたあたしがなにか言うわけにもいかなくて、何事もなかったかのように毎日が過ぎていったんだ。
そういや、弦が彼女作ったのってあの後だったな。
あの会話を聞いちゃったのも。
弦はあたしのこと好きじゃない。
ただの腐れ縁。
じゃあなんであいつはあんなことしたんだ。
あんなことされて、あんなこと言われて気にするななんて無理な話だ。
そして気になった結果、気付いてしまった気持ちは、意地でも認めたくないものだった。
だってあたしたちはただの腐れ縁。
それ以上は望んでいなかったはずなのに。
苦い思い出にふぅとため息をついていると、隣の家に明かりが灯ったのがカーテンの隙間から見えた。
弦、帰ってきたんだ。
あの子も一緒かな…。
閉めきられたカーテンを見つめて、またため息。