オカシナふたり
 少年を自宅に連れて帰り、膝の怪我を消毒し、ガーゼを当てるという簡単な治療を施す。

 話しかけても照れているのか――はたまたチカを警戒しているのか分からないが――無言のままで硬い表情を崩さない少年。

 そんな少年の様子に「今は何か話す状況じゃないか」とチカは自分と少年の分の夕食を作りにキッチンに向かった。
 困った状況ではあるが「こんな美少年を食事できるチャンスなんてなかなか無いよね!」なんていう誰かに聞かれたら「不謹慎だ!」と怒られそうなことを考えていたりする。

……とにかくポジティブなヤツなのだ。

 そんな不謹慎な人物の思惑を見透かされていたのかどうか――簡単な夕食の準備を整えてチカがリビングに戻ると少年は穏やかな寝息をたてて眠ってしまっていた。
少年のあまりに愛らしい寝顔にチカは少年を起こすことも敵わず――そのまま悶々とした眠れぬ夜を過ごし場面は朝に戻るのである。
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