オカシナふたり
 季節は夏。

 小学生が一人で野宿できるかどうかは判らない。
 しかし、それでもカズキは家を出ることを決めたのだった。

――ほんのわずかしかない、自分の荷物を通学用のリュックに背負い、現在よりもさらに幼い頃に本当の父に買ってもらった――ボロボロの自転車に跨って。

 母に、母の彼氏に見つからないために。
 カズキは自分の家より遠くに行かなければ、という思いがあった。
 理屈も深い考えも無く、ただ母から遠くへ行ってしまいたいという思いがあった。
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