オカシナふたり
 少しだけ傾き始めた太陽が、妙にカズキの郷愁の気持ちを誘った。
 その人間が持つ根源的な気持ちに誘われて――カズキはまだ明るい色の強い夕陽に向かって自転車を漕ぎ出した。

 カズキが自転車を漕いで四十分も経った頃だ。
 見通しの悪い三叉路。
 地元に住む者ならば僅かながらでも注意を払いながら通り過ぎる道だ。

 そのような事情は露知らず、カズキが三叉路に差し掛かった時――。

ドンッ!!

 地元に住んでいるのだから、三叉路の見通しの悪さも認識しているはずなのに。
 そんなことは欠片も気にせずにバイクで三叉路に突っ込んだ人物がいた。

――まったくもって……間の悪いヤツだ。
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