オカシナふたり
 カズキにとって幸か不幸か、『家出』してしまったカズキにとって最も必要であろうと思われる『屋根のある場所』と『事情を聞かない能天気さ』を併せ持った人物――トモカとの出会いだった。

 傷に当たらないように、出来る限り早くシャワーを浴びたカズキを待っていたのは――僅かに石鹸の香りが残るブカブカのTシャツだった。

 サイズがブカブカなのは――持ち主のヨコシマな思いがたっぷりと篭っているのだが――それでもカズキにはトモカの心遣いが嬉しかった。
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