オカシナふたり
 別にトモカの住むマンションが同棲禁止とか、そんな契約があるわけではない。
 カズキがまるっきりの赤の他人であること、その年齢が幼いと言って差し支えのないものであること。
 加えて言えば……その『赤の他人』の『年が幼い』カズキに対してトモカが邪まな思いを抱いていることが――トモカに『ヤバっ!!』と思わせたワケである。

まあ、トモカの心配は見当外れでもあり、ある意味では当たっていたりするわけなのだが……。

「は……はひ。 一人暮らしでふ……」

 色んな意味での場都の悪さによる頬の引きつりを抑えながらトモカはオバサンからの質問に答える。
 普段から……他人の視線を気にすることができれば朝の目覚まし時計の儀式は続行されることも無いはずなのだが――。

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