オカシナふたり
「ふう……」

 諦めの混じった小さいため息を吐き出し、チカは出勤の準備を整えるためにベッドを降り立ち、そのまま覚束ない足取りで洗面台へと歩みを進めた。

7月21日、朝十時五分。

 チカはこの後に訪れる自分の『運命の出逢い』にまだ気が付くはずもなく、日頃と変わらない平凡な一日をスタートさせた。
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