オカシナふたり
 まあ、その人間の神秘によって、これまで毎朝のように続けられていた『朝の儀式』は収まりを見せ、隣に住む主婦は朝の時間帯でも騒音に悩まされることなくテレビをゆっくりと観賞できるようになった。

 そうなってくると人間とは不思議なもので――隣の主婦も今まで目覚ましの件もあり、やっていなかったのだが――余ったミカンなどの『お裾分け』までしてくれるようになっていた。

 怪我の功名とでも呼んでおこう。

 ともあれ、この二人が奇妙な偶然によって出逢い、一緒に暮らし出したことで……ほんのちょっとだけ……本人たちを含めて周囲まで幸福を運んでいたようだった。
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