僕のミューズ
ステージ上では見劣りしないモデル達がきらびやかな笑顔を撒き散らして歩いている。さながら、本物のモデルの様だ。
中には本物のモデルや読者モデルもいるらしい。でもそれがどの子かもわからないくらい、皆完成度が高い。
テンションの高いクラブミュージックと、カラフルなスポットライトとフラッシュ、女の子達の黄色い歓声と魅力溢れる衣装。
それらをぐるぐると視界に映しながら、俺は祈るような気持ちで順番を待った。
ふと、音楽が変わる。
心臓に響く音は変わらないが、音がより一層女の子らしさを増す。
先輩のチームの音楽だ。
出入口のすぐ側にもたれかかっていた俺は、姿勢を正す。
ステージのカラーが変わり、最初の女の子が姿を現した。
先輩のチームは三人目。
つまり、三人目に出てくるのが、彼女だ。
クオリティの高いドレスも綺麗な女の子も、今の俺には響いてこない。
とにかく、三人目。三人目を、待つ。
一人目の女の子が完璧なランウェイを見せて、裾に消えた。
同時に、二人目の女の子が姿を現す。
彼女がランウェイを歩く度、心拍数が増した。
あと10歩。5歩。2歩。
…1歩。