僕のミューズ
「悔しかったらお前らも彼女作れよな~」
「おい、誰かこいつ摘まみ出せ」
「ちょちょ、タンマ!いいお誘いがあるから!」
真二が圭吾の首根っこを掴んで講義室から摘まみ出そうとした瞬間、圭吾は携帯のディスプレイを俺達に向けた。
そのままの体制で三人覗き込む。
それは、近場の海水浴場のサイトだった。
「何?」
「海!伊織ちゃんが、海は大人数で行った方が楽しいって言うからさ~」
「行かない?来週くらいに」、可愛らしく小首を傾げる圭吾を投げ捨てて、真二は携帯のサイトに見入る。
「ここだったら、車ですぐだな」
「メンバーはいつもの?」
「うぃ」
投げ捨てられた衝撃ですねを打った圭吾は、若干涙目で頷いた。
「いいねー海!女の子!水着!」
「真二の目がエロモードに入りました~」
さっきまで冷たかった真二も圭吾の誘いで一気にテンションが上がり、二人でハイタッチを交わしている。
俺もその話を聞きながら、二人程顕にはしていないが徐々にテンションが上がるのがわかった。
いつものメンバーで海。
ということは、勿論、芹梨も。