僕のミューズ

笑顔のまま俺の肩に手を回す圭吾。
俺はあからさまに嫌そうな顔で「何がだよ」と言う。

にやついたまま耳元で、こっそりと呟いた。

「芹梨ちゃんの水着姿」

「ばっ…!」と思い切り圭吾の腕を離した瞬間、どんなタイミングか「おはよー」という可愛らしい声が聞こえた。

振り返ると、今日の女の子メンバー。

俺は急いで圭吾から離れた。

「何々、何か二人仲良し~」
「いや~、遥がエロいって話をね」
「は!?お前何言ってんだよっ!」

思い切り圭吾を殴り、慌てて芹梨の方を見た。

周りの女の子達は笑っていたが、やり取りを読み取れなかったらしく、きょとんとした顔をしている。

俺の視線に気付いて、手話で話しかけてきた。

『何?何言ったの?』
「いや、何でもねーから。乗ろ乗ろ」

俺は芹梨を車に誘導し、リスクファクターの圭吾から遠ざける。

「他の子達は?」
「紺と真二は先に行って場所とってくれてる。っしゃ!じゃあ行きますか~!」

勿論伊織ちゃんを助手席に乗せて、ノリのいいサマーチューンをかけながら圭吾の車は出発した。

既に車の中は大合唱。
俺はそんな中、隣の芹梨に視線を送る。

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