僕のミューズ

「遥!ようやく会えた~っ」
「お前…何してんだよ」
「何って、モデルだよ?」

意味がわからない。
そう思っていた所に、後輩が笑顔で近寄って来た。

「いや、遥さんこんな美人知り合いなら早く教えて下さいよ」
「お前、何でこいつなんだよ」
「いやー、モデル探してたら、丁度学校の近くで見付けて。声かけたら、『櫻井遥って知ってる?』って言われたから」
「遥の後輩のショーなら、是非って引き受けたの!」

「ほんと、先輩様々っす!」なんて暢気に言っている後輩たち。

くらりと立ち眩みがする。
感謝されているが、俺は勘弁してくれと叫びたかった。

「お前ら、こいつモデルとか…」
「大丈夫!あたし、すっごい真剣だから」

あかりは何を言われるのかわかったのか、先手を打って思い切り言った。

そしてそっと、俺に耳打ちをする。


「遥のショーの、リハーサル。全力出すから、見ててね」


そい言ってニコッと微笑み、ランウェイに戻った。

俺はそんなあかりを見て、思い切りため息をつく。

とりあえず近くのパイプ椅子に座り、ランウェイの様子を見た。

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