僕のミューズ

「え?何?」

そんな俺に、芹はゆっくりと手話をした。

『・・・来た』

来た。
その一言を飲み込むのに時間がかかったが、その意味がわかった瞬間、はじける様に目が覚めた。

「え・・・、え、もしかして、結果?」

ようやく目が覚めた俺は早口で聞くと、その口元を読み取って芹梨がこくんと頷く。

俺は急いでテーブルの上に放置してあった眼鏡を取り、どこかの角に足をぶつけながらも玄関に戻った。
がこんとかばたばたという間抜けな音が朝の部屋に響く。

『・・・大丈夫?』
「大丈夫!だいじょうぶ。うん。で、結果は?」
『・・・まだ、開けてない』

芹梨の手にしているそれは確かにまだ封が開いていない。
俺はとりあえず彼女を部屋に通し、リビングに座らせた。

「・・・芹梨、の、タイミングで開けていいから」

俺も芹梨の前に正座をして座る。
スウェットのままの格好がなんだか申し訳なかったが、着替えている余裕はなかった。

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