僕のミューズ
女神の指先


……………

スタイル画、これで三枚ボツだ。

ちっと舌打ちをし、自分でボツにしたスタイル画を半分に折り、鞄に突っ込む。

煙草を吸おうと取り出したが、隣に座っていた女の子の視線に気付いた。

あ、ここ禁煙か。

俺は軽く頭を下げ、今取り出した煙草を鞄にしまった。

もう少し早くから課題に取り組めばよかったな。

いつも思うこと。でも所詮大学生、学習能力のない生き物だ。

煮詰まった頭じゃいいスタイル画もかけないだろうと、俺は冷めたスタバのコーヒーを口に運んだ。

通り沿いにあるスタバ。
この窓際のカウンターが、俺の一番のお気に入りの席だ。

課題や勉強は大抵ここで行う。
で、煮詰まってきたらこうしてコーヒーを飲みながら、外を観察するのだ。

この近くには、大きなファッションビルや外資系ブランドの路面店、ヘアサロンが密集している。
所謂、繁華街だ。

行き交う人はそれなりにファッションに精通している人が多い。
俺はそういう人達のスタイルを観察するのが好きだった。

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