僕のミューズ


……………

結局合コンの日程は、調整した結果1週間延びてしまった。

待ち遠しかったが、1週間あったお陰で勉強が多少はかどった。

テスト勉強ではない。それよりももっと大事なもの。

「こんにちは。私の、名前は…さ、く、ら、い…」
「何してんの」
「うおっ!」

真剣な俺の後ろで、紺が不思議そうにのぞきこんで来た。
大学のラウンジに、俺の慌てた声が響く。

同時に急いで、今見ていた本を隠した。

「新しいダンス?」
「何がだよ!何でもねーし」
「ふーん。ま、いいや。明日の合コンだけど、真二達には話してるんだよね?」
「何を?」
「芹梨ちゃんのこと」

紺は持っていたコーヒーを俺の前に置き、隣に座る。

俺は「あぁ、」と呟いて、席に座り直した。

「言ってあるよ」
「大丈夫そう?」
「大丈夫だろ。そういう…偏見?みたいなの、あいつらにはねぇし」

現に芹梨が話せない事を話しても、真二も圭吾も大して気にしていない様だった。
悪く言えば考えなしの二人だが、気がいい奴らなので安心はしている。

「7時だっけ」
「あぁ。噴水前な」
「りょーかい」

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