僕のミューズ
女神のえくぼ
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大学は春休みに突入し、正直言って暇をもて余す日々に突入した。
三年生の俺達は今頃就活に翻弄される日々のはずなのだが、運がいいのか日頃の行いがいいのか、はたまた実力なのか、仲間内はみんな内定をもらっているのだ。
まぁ、いい具合に先輩のコネを利用したり、悪徳商人みたいにゴマをすりまくったりはしたけど。
そういうのも実力の内だ。多分。
「はーるーかーちゃん!」
いつものラウンジで雑誌を読んでいた俺の上に、これまた悪徳商人まがいのコネやゴマで内定を獲得している圭吾が覆い被さって来た。
そういう趣味は全くない俺は、雑誌の角で圭吾の頭を一撃する。
「ってぇ!容赦ねーよお前!禿げたらどうすんだよっ」
いい音がしたのでその表現は決して大袈裟なわけではないだろう。
日頃から猫っ毛の為薄毛を気にしている圭吾は、大事そうに頭のてっぺんを撫でた。