『霊魔伝』其の壱 木の章
零次朗は近づいて、理恵子の手を取った。
「理恵子さんは何故ここにいるのですか。この場所に縛られる理由を知りたいのです。」
《私は隠れていたのです。ある人から逃れるために。
その人に追われて、追いつめられて、ここに逃げ込みました。》
「ある人とは誰ですか。追われていた理由はなんですか。」
《それは、・・・。》
理恵子は口ごもった。言いたくないようだ。
「あなたは、ここから出て何をしたいのですか。」
《それは、・・・に伝えなくてはならない大事な話があるのです。
それを言うまでは、死んでも死にきれません。》
「誰にですか」
名前が聞き取れなかった。
《・・・です。》
理恵子は言っているつもりらしいが、声にならないようだった。
小太郎は零次朗に考えを伝えた。
《彼女の言うある人の名と、そいつから逃げなければならなかった理由を知ることが必要だな。
彼女はその時の恐怖が呪縛となって、ここから出られなくなってしまったのかも知れない。
それと会いたがっている人を捜さねば解決はしない。》
「そうだな。少し調べる必要があるな。
理恵子さん、時間が掛かるかも知れないが、必ずここから出してあげます。
待っていてください。」
《はい、お願いします。》
零次朗と小太郎は、プレハブ小屋を出た。元のようにカギを掛けて。
階段を降り、玄関を出たところで、突然声を掛けられた。
「小早川君。」
見ると、担任の塩原淳子が小走りで追いかけてきた。
「先生、何ですか。」
「実は、小早川君にお願いがあって。ちょっと先生の家まで来てくれないかな。
家にも連絡するし、ご飯もご馳走してあげるから。」
「お願いって、まさか。先生それはまずいですよ。
俺はまだ十五だし、先生と生徒の間で恋愛なんて。でも年上の女の人も、いいかな。」
「何勘違いしているのよ。」
笑いながら零次朗の背中を叩いて、校門に向かって歩き始めた。
「違うのよ。小早川君がいた中学校の保健の先生、高村あずさは私の姉なの。
それで君が不思議な能力を持っていること、教えてもらったの。」
「えっ、あずさ先生の妹なんだ。」
「理恵子さんは何故ここにいるのですか。この場所に縛られる理由を知りたいのです。」
《私は隠れていたのです。ある人から逃れるために。
その人に追われて、追いつめられて、ここに逃げ込みました。》
「ある人とは誰ですか。追われていた理由はなんですか。」
《それは、・・・。》
理恵子は口ごもった。言いたくないようだ。
「あなたは、ここから出て何をしたいのですか。」
《それは、・・・に伝えなくてはならない大事な話があるのです。
それを言うまでは、死んでも死にきれません。》
「誰にですか」
名前が聞き取れなかった。
《・・・です。》
理恵子は言っているつもりらしいが、声にならないようだった。
小太郎は零次朗に考えを伝えた。
《彼女の言うある人の名と、そいつから逃げなければならなかった理由を知ることが必要だな。
彼女はその時の恐怖が呪縛となって、ここから出られなくなってしまったのかも知れない。
それと会いたがっている人を捜さねば解決はしない。》
「そうだな。少し調べる必要があるな。
理恵子さん、時間が掛かるかも知れないが、必ずここから出してあげます。
待っていてください。」
《はい、お願いします。》
零次朗と小太郎は、プレハブ小屋を出た。元のようにカギを掛けて。
階段を降り、玄関を出たところで、突然声を掛けられた。
「小早川君。」
見ると、担任の塩原淳子が小走りで追いかけてきた。
「先生、何ですか。」
「実は、小早川君にお願いがあって。ちょっと先生の家まで来てくれないかな。
家にも連絡するし、ご飯もご馳走してあげるから。」
「お願いって、まさか。先生それはまずいですよ。
俺はまだ十五だし、先生と生徒の間で恋愛なんて。でも年上の女の人も、いいかな。」
「何勘違いしているのよ。」
笑いながら零次朗の背中を叩いて、校門に向かって歩き始めた。
「違うのよ。小早川君がいた中学校の保健の先生、高村あずさは私の姉なの。
それで君が不思議な能力を持っていること、教えてもらったの。」
「えっ、あずさ先生の妹なんだ。」