「ねぇ、」
「ねぇ、初対面にそんな口聞くの?」
「ふぃ~、暑い…」
階段を昇ると、白を基調とする建物が目に見えてくる。
「全く…誰がこんなトコに病院なんか…」
春とは思えない暑さの中、俺は必死になって階段を昇ってきた。
少し高台にあるとはいえ、これは単に災害時の津波の被害にあわないようになっているだけである。
それを証拠にここから車で30分で海辺に着く。
ウィーン…
と、自動ドアが開き、まっすぐに進む。
「健康診断に来たんですけど、」
「はい、えっと…有川 雄平さん、ですね?」
「はい。」
「大学側から予約をいただいております。」
「それでは、あの席でお待ちください。」
「はい。」
簡単な手続きを済ませると俺は待合いの広場の椅子に座った。
ちょうど、大学の定期健診のとき、たまたま用事が入って欠席してしまったのだ。
だから、俺は今ここにいる。
にしても、広いな…結構。
「さすが、大学病院。」
もちろん俺が通っている大学の病院ではない。
大学病院だけあって、やっぱり毎日の検診の人…というか、入院してる人…。
「俺は病院に縁が無いからな…」
こういうの見ると、何故かワクワクする。
「……悪かったね」
「は?」
振り返ると、そこに女の子がいた。