共に在る者
「さあ、行きましょうか」

 しばらく歩かなくてはならないのだけれど、と口にしながら少女の手を引き上げ立たせてやる。
 
 早くも西に傾きつつある秋の日の中、老婦人と少女は歩き始めた。


 秋の夕暮れの中、2人は歩く。

 そんな2人の長い影の揺れる様子が、少女にとっては表現しようのないほど嬉しく感じた。

 

 少女は手を引かれて、小さな足で懸命に歩く。

 もう1人ぼっちではないのだと言う安堵感に、泣き疲れてくたくたであったことすら忘れていた。
 

 まだまだ幼い手でギュッとしがみつくように自分の手を握る少女の様子を見て、マーサは

「大丈夫。大丈夫よ」

 と、何度も少女に向けて繰り返しささやいてやった。


 











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