共に在る者

3】老婦人の家

 マーサは小さいけれど人柄同様に温かみのある家に1人で暮らしている。

 お世辞にも豊かな暮らしぶりとは思えないが、部屋に置かれた家具たちはどれもこれも丁寧に使い込まれている。


 手作りの家具なのだろうか。

 
 少々形にゆがみがあるが、それがまた何ともいえない温かみをかもし出している。




 長年連れ添ってきた彼女の夫は、2年前に胸の病でこの世を去ってしまっていた。


 それ以来、たった一人での生活。


 
 老婦人には30歳を超えた息子がいる。

 けれど、遠い異国の地でその土地の女性と恋に落ち、そこで妻となった女性と自分の娘の3人で新しい生活を始めている。
 

 彼がこの家を出てもうじき10年近くにもなるが、マーサに会いに来ることもなく、月に1度短い手紙が届くだけであった。









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