共に在る者
「体が冷えたでしょ。まずはお風呂に入れてあげるわね」
 
 清潔に洗い上げられたフカフカのタオルと、マーサが孫娘のために作りためた服の内の一枚を手にする。

 そして、少女をこの家の浴場へと連れてゆく。
 

 浴場へと向かうわずかな距離ですらマーサの手をしっかり握りしめ、少女はけして手を緩めようとはしない。


 この手を離したら、自分の行き場を失うとでも思っているのだろうか……。

  
 それほどまでに少女が感じていた孤独に対する恐怖心が深いのだ、とひしひしと伝わり、マーサは胸を衝かれた。
 
 
―――こんなにも幼い子が、ここまで脅えてしまって……。
   かわいそうに。


 安心させてやろうと思い、少女とつないだ手にやさしく力を入れる。

 すると、少し驚いたように少女はマーサを見上げた。






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