共に在る者

4】アザ

「あら?」

 脱衣所で少女の服を脱がせてやっていたマーサは、その小さな背中の中央より少し上の辺りに、対になったアザがあることに気がついた。


 内出血のように、赤紫色した2つのアザ。

 マーサの手の平半分ほどの大きさだろうか。

 小さな背中に比べれば、相当に大きなアザだ。

 何かの染料で描かれたと思えるほど、その形ははっきりと見て取れる。



―――どこかで怪我をしたのかしら?

 もし、ぶつけた結果のアザであれば相当に痛いはずだ。

―――腫れたりはしていないみたいだけど……。

 少女の髪をまとめ上げる振りをしながら、マーサは指先で触れてみる。
 
 万が一にも痛がらないように、そっと。



「なぁに?」

 急に背中を触られ、少女は驚いて振り向いた。

 しかし、それ以上何も言わないところを見ると、痛みはないらしい。
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