共に在る者
―――怪我ではないみたいね。

 マーサは心の中でほっと息をついた。



「驚かせてごめんなさいね。

 髪が上手にまとめられなくて、はみ出した髪を寄せていたのよ」

 何事もなく微笑んで、マーサは髪をまとめ上げた。




 そもそもこんなところをぶつけることはないので、生まれつきのアザというだろうか……?


 それにしても、単なる偶然でアザが対になるものなのか?

 しかもそのアザは何かを形取っているようで、きれいに左右対称なのだ。




 マーサの心の片隅がチリチリとざわつく。


―――もしかして、何か得体の知れない子を連れ帰ってしまったのだろうか……。


 いぶかしく思ったが、少女のあどけない様子を見る限り、魔に染まっているとも思えない。



 とりあえずは何も見なかったことにして、マーサは自分の服の袖をまくり、長スカートのすそをたくし上げて結んだ。
< 17 / 75 >

この作品をシェア

pagetop