共に在る者
「さあ、いらっしゃい」
 

 小さ目のタオルを手にしたマーサは、温かい湯気の溢れる洗い場へと少女を招きいれた。

 浴場の戸を開けると、風呂桶から湯気が立ち上っている。

 狭い浴室は湯気に溢れ、まるで雲の中にいるようだ。


 もくもくと立ち上る真っ白な湯気が、少女を取り囲んだ。

「きゃっ」

 突然視界が遮られて、驚いた少女は不安げに老婦人を呼ぶ。


「マーサ……?」

 小さな手がしわくちゃの手をぎゅっとつかむ。


「大丈夫よ。

 私はそばにいるわ」

 優しく少女の頭をなでてやると、握り締めた手が少しずつ緩んでゆく。



「まずは体を洗いましょうね」

 マーサは少女にお湯をかける。

 そして手にしたタオルに石鹸をつけ、少女の体を洗ってやった。
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