共に在る者
 いずれにしても少女1人であの大樹のもとにいたのかは見当が付かない。

 さらわれて親元から引き離されたとして、人さらいの手を逃れて逃げてきたのかとも思ったが……。



 そうではあるまい。

 いくら少女が必死に走り逃げようとも、こんな幼い子供の足では大人から逃げ切れるものではない。

 うまく逃げ出したところで、あっという間に追いつかれてしまうのは目に見えている。



 
 では、なぜ何をするわけでもなくただ、呆然と座っていたのか?
 
 盛大に泣きじゃくりはしたものの、人影におびえる様子はなかったから、人さらいから逃げてきたのではないのかもしれない。


 

 それならばこんな幼い子供が親のそばを離れた理由は……?
 

 しかし、いくら考えてみてもマーサには答えが浮かばない。



 少女が何か思い出さない限りは、解決しないのだろう。

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