共に在る者
 リリの肩が小さく跳ね、驚きのあまり息を飲む。

 こんな時でもその表情はマーサには余計な心配を掛けないようにと寂しさを必死に我慢をしている。



 とは言っても、やはりたった10歳の少女だ。

 親が恋しいに違いない。

 寂しさを隠そうと我慢すればするほど、リリの瞳が涙で潤む。



「いいのよ、隠さなくても」
 
 ベッドの縁を握り締めているリリの左手に、マーサは自分の右手をそっと重ねる。


「マーサ……」
 
 リリはゆっくりと息を吐きながら、無意識のうちにこわばっていた体の力を抜く。


「リリ。

 あなたがこの村で暮らすようになってもう5年になるわ。

 あんなに小さかったのに、すくすくと良く育ったわね」


「それはマーサや村のみんながよくしてくれたからだよ。

 毎日楽しいもん」

 リリの言葉にはうそはない。
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