共に在る者
「……そうだと思ったわ」
 
 リリの手をそっと握りながらマーサはしみじみと言う。


 リリは自分の家族に会ってはっきりさせたいのだ。

 “自分が捨てられた子供ではない”ということを。

 “けして要らない子供ではないのだ”ということを。



「あっ!でもね、マーサ。

 村での生活が嫌になったんじゃないんだよっ」
 
 自分が家族に会いたいと思っているのは“マーサとの暮らしに嫌気がさしたからではないのだ”ということを慌てて伝える。


「ふふ、分かっているわ。

 あなたはそんなひねくれた子供じゃないもの。

 誰だって自分の親には会いたいものだわ。

 ただ、それだけのことでしょう?」


 問われて、コクン……とリリはうなずく。

 うなずいたまま顔は上げずに、大きくため息をつく。



「なのに、5年も・・・」

 リリの肩が震え、瞳には再びうっすらと涙が浮かぶ。
 

 
 泣き出してしまいたいのを必死にこらえているリリ。


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