共に在る者
「簡単に言うとね、“だめだわ”とか“悲しいわ”と言っているとその通りになってしまうということなのよ」

「そうなのっ!?」
 
 驚きに目を丸くするリリ。

 
 素直に反応するリリの様子があどけなくて、マーサは思わず苦笑してしまった。

「ふふっ。もちろん、必ずしも言葉とおりになるとは限らないわ。

 でもね、悲しい事を考えたり口にしたりして気持ちがふさいでいると、せっかくの幸せを見逃してしまう気がするの。

 だから、気持ちを明るくして、楽しいことを言っていたらどんな小さな幸せも見落としたりしないと思うのよ」
 

 今では腰の辺りまで伸びたリリの髪を、マーサは手ですいてやる。

「リリにはちょっと難しかったかしら?」


「……うん」

 リリは少し困った表情だ。


「よくは分からないけど……、でも、悲しいって思っているよりも楽しいって思っていたほうが毎日素敵ってことだよね?」

 リリなりに理解して、マーサに問う。


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