共に在る者
「何か欲しいの?お水?」

 リリは必死でマーサの意思を汲み取ろうとする。

 何かを伝えようとしてマーサは唇を動かすが、声がかすれていてはっきりと聞き取れない。

「マーサ!マ-サッ!!なにっ?」

 マーサの口元ギリギリにリリは自分の耳を近づける。

 そしてようやくマーサの声を聞くことが出来た―――でも、それは悲しい言葉。


「今……まで、すごく幸せ……だった。リリに……会えて、本当に……よかったわ……」
 
 もはやろくに見えてはいない瞳で、マーサは懸命にリリをとらえようとする。


「や、やだ……。何、言ってるのっ!?」
 
 リリの唇は小刻みに震え、涙で視界がぼやけてくるが、精一杯の笑顔を作る。

 マーサが大好きだといってくれた自分の笑顔。



「これからも2人で一緒に暮らすんだよ!ずっとだよっ!!ずっとなんだからねぇっ!!」

 マーサの手を握り締める手に思わず力が入る。

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