共に在る者

4】一人で迎えた朝

　朝を向かえ、白々と外が明るくなり始めた頃に、隣に住んでいる若い夫婦がマーサとリリを心配して尋ねてきたらしく、扉をノックする音が聞こえた。


「おはよう。ジェイクだよ」

「もう起きているのかしら？」

　ドアの外からかかる二人の声を聞いたリリは、よろよろと力なく立ち上がり、どうにか歩いてドアへとたどり着いた。
　
　自分はこんなにも非力だったのかと思うほど、ドアを開ける手に力が入らない。

　降り続く雪のせいで部屋が冷え、体がかじかんでしまったからではない。

　体中の力が抜けてしまうほど、リリにとってマーサの死は大きな衝撃だったのだ。
　

　どうにかノブを回し、ドアを押し開ける。

　そこにはいつも何かと気にかけてくれる2人が立っていた。

　ことにマーサの体調が悪くなってからは頻繁に家を訪ねてきては、小さなリリでは手の回らないことをあれこれと手助けしてくれていたのである。

「おはよう……ございます。ジェイクおじさん、シャリナおばさん」
　リリは2人を家の中へと招き入れた。

「おはよう、リリ。どうしたの？そんなに真っ赤な目をして……」
　と言いながら、シャリナはリリの様子からこの家に何が起きたのかを察した。
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表紙・目次

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