共に在る者
「マーサが……亡くなったのね……？」
　
　リリはコクンと小さくうなづくとシャリナに抱きつき、大きな声を上げて泣きじゃくり始めた。

「マーサが……マーサ……。

　ずっと一緒に……いようっていった……のに……」

　あれほど泣いたはずなのに、リリの涙は枯れることなく、再び大粒の雫となってこぼれ出してゆく。

「ええ、ええ。分かったわ……。悲しかったわね」
　
　シャリナはリリの背中を静かにさすってなだめてやる。


　しばらくの間、盛大に泣いていたリリだが少しずつ落ち着きを取り戻し、しゃくりあげる程度にまでとなった。


「シャリナ。俺、教会へ知らせてくるよ」

　はずしていた手袋をはめ直し、ジェイクがシャリナに声を掛ける。


「そうね、お願い。私はここでリリの様子を見ているわ」

　ようやく落ち着いてきたリリだが、まだまだ心配で目が離せない。

　それに、葬儀の準備もしなくてはならない。
　

　ジェイクを送り出したあと、シャリナはリリをわずかに火の灯る暖炉の前に連れて行った。　
　
　一晩中、マーサのベッドの脇で過ごしたりりの手足は氷のように冷たくなっていたのである。
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表紙・目次

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