共に在る者
「薪を足しておくわね」
暖炉の脇に積み上げられている薪を数本取り出し、種火の残る暖炉へとくべる。
新しい薪にも次第に火が付き、寒々としていた部屋が暖まってゆく。
シャリナはりりの悲しみを紛らわせようと、何かさせることにした。
「ねえ、リリ。マーサは何が好きだった?」
「マーサの……好きな……物?」
泣き止んだリリは隣に立つシャリナを見上げる。
「ええ、そうよ。棺に入れてあげようと思うの」
「好きな物は……。えっと……好きなのは……」
目の前の暖炉、いつも外を眺めている小窓、部屋の隅に置かれている背の低いタンスなどあちこちに目をやっていたりりが不意に台所に目を向けて、こうつぶやいた。
「……パン」
「パン?」
シャリナが聞き返す。
「そう、パン。
マーサ、私の作ったライ麦パンが好きなの……」
ゆらゆらと揺れる暖炉の炎を見ながら、リリは言った。
暖炉の脇に積み上げられている薪を数本取り出し、種火の残る暖炉へとくべる。
新しい薪にも次第に火が付き、寒々としていた部屋が暖まってゆく。
シャリナはりりの悲しみを紛らわせようと、何かさせることにした。
「ねえ、リリ。マーサは何が好きだった?」
「マーサの……好きな……物?」
泣き止んだリリは隣に立つシャリナを見上げる。
「ええ、そうよ。棺に入れてあげようと思うの」
「好きな物は……。えっと……好きなのは……」
目の前の暖炉、いつも外を眺めている小窓、部屋の隅に置かれている背の低いタンスなどあちこちに目をやっていたりりが不意に台所に目を向けて、こうつぶやいた。
「……パン」
「パン?」
シャリナが聞き返す。
「そう、パン。
マーサ、私の作ったライ麦パンが好きなの……」
ゆらゆらと揺れる暖炉の炎を見ながら、リリは言った。