共に在る者
「天使って……?私には翼がないのに?」
まるで訳も分からず困惑した顔で黙り込んでしまったリリに、トウヤは苦笑する。
「リリアンヌ自身が天使だと自覚していれば、もっと早くに迎えに来られたはずなんだ。
いくら天使と人間は姿、形が似ているとはいえ精神波長が全く違うからね」
トウヤはリリを地に下ろし立たせてやる。
「人間界にたどり着いてしまったものだから自分も人間だと思い込んでしまったんだね―――だから覚醒が遅れた」
そう言いながらトウヤは静かにリリの背後に回る。
「天使には生まれたときから一対のアザが背中にあるんだ。
そして6歳の水の月を迎えた時にアザは消え、そこに翼が現れるんだよ」
トウヤはリリのアザがある辺りに左手をかざす。
するとリリの背中の中央よりやや上の部分から美しい純白の一対の翼が音もなく現れた。
「えっ?」
同じ白とは言っても雪のような冷たさはない。
春の日差しを思わせる穏やかな薄光がその翼自身が発している。それはリリの心の優しさの表れなのだろう。
まるで訳も分からず困惑した顔で黙り込んでしまったリリに、トウヤは苦笑する。
「リリアンヌ自身が天使だと自覚していれば、もっと早くに迎えに来られたはずなんだ。
いくら天使と人間は姿、形が似ているとはいえ精神波長が全く違うからね」
トウヤはリリを地に下ろし立たせてやる。
「人間界にたどり着いてしまったものだから自分も人間だと思い込んでしまったんだね―――だから覚醒が遅れた」
そう言いながらトウヤは静かにリリの背後に回る。
「天使には生まれたときから一対のアザが背中にあるんだ。
そして6歳の水の月を迎えた時にアザは消え、そこに翼が現れるんだよ」
トウヤはリリのアザがある辺りに左手をかざす。
するとリリの背中の中央よりやや上の部分から美しい純白の一対の翼が音もなく現れた。
「えっ?」
同じ白とは言っても雪のような冷たさはない。
春の日差しを思わせる穏やかな薄光がその翼自身が発している。それはリリの心の優しさの表れなのだろう。