共に在る者
――――もう、1人じゃないんだ・・・・・・

 何度も何度も心の中で繰り返す。
 
 安心したにも関わらず、いや、安心したからこそリリの涙は止まらない。


「そんなに泣いたら父さんも母さんも心配するよ」

 トウヤは抱きしめていた腕を緩め、リリの頬を手でぬぐってやる。

 そして中腰になり、自分の目線を小さな妹に合わせた。

「自分が一人を望まない限りいつでも必ず誰かが隣にいてくれる。

 それは人間でも、天使でも同じなんだよ」

 優しく、優しく言い聞かせる。


「うん……。うん、そうだね」
 
 リリは大きくうなずいて、手の甲で涙をぬぐった。



「さあ、行こうか。みんなが待っているからね」
 
 差し出されたトウヤの手をしっかり握り締め、リリはにっこりと笑った。

「ようやくパパとママのところに帰れるんだぁ」
 
 嬉しそうに笑うリリに対し、トウヤは申し訳なさそうにあることを告げる。

「それでね……。リリアンヌが天使だと自覚した今から、村の人たちの記憶からお前の存在が消えてしまうんだ……」


「えっ!?」

 思いがけないトウヤの言葉に、リリは驚きを隠せない。
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