束縛する人
「美佳… ホントにどうした?
何か心配事でもあるの?」
隣に座り直した塚本さんが
肩を抱き
やさしく髪を撫でてくれる
――もうやだ…
彼女なのに
何でそれ以上触れてくれないの?
ノリの良いBGMが
余計に不安をあおる
「……心配なこと…あるよ」
なんとか顔をあげて
塚本さんの方へ顔を向ける
いつもは笑みを含んだやさしい瞳に
不安の火が灯っている
思わず目をそらす
番組を映していない黒いテレビの画面に
寄り添った私たちの影が映しだされている
「あるけど…今は言えない」
「何で?俺にも言えないこと?」
肩にまわっている手に力がこもる
――こんなに近くにいるのに…
「あとで…塚本さんの部屋で…
話を聞いて欲しいの」