束縛する人
あの笑顔が私の勘違いだったと分かったのは
その日の夜だった
20時でバイトを終えた私は
帰りがけに塚本さんの家へ寄った
部屋へ入ると同時に
力強く掴まれた右腕
スリッパに履き替える暇もなく
半ば引きずられるようにして部屋まで連れてこられる
部屋にたどり着いても離されない右腕
「やっぱさぁ…オレ
ガキみたいだけど…美佳が他の奴と仲良くするの見ると…たまんなくやきもち妬くよ」
更に力が込められるのが分かる
痛いというよりも
怖いという気持ちの方が勝っていた
「…ごめんなさい」
悪いこともしてないのに何で謝るのか
自分でも分からなかったけど
言葉が口から出ていた